【第2回】同人サークル分析シリーズ 評価数の分布から高評価の“信頼度”を探る
サークル分析の前回からの続き
前回の第1回記事では、同人サークルの平均評価点の分布を見て、ほとんどのサークルが4.0以上という高評価を得ていることが分かりました。
しかし、評価点というのは数字だけを見ると「良し悪し」が一見わかってしまいますが、実は**その裏にある「評価した人数」**も、同じくらい大事な情報です。
想像してみてください。
あなたが映画やゲームのレビューを見たとして、こんな2つの作品があったとします。
A作品:評価点 4.8(評価者3人)
B作品:評価点 4.2(評価者5,000人)
パッと見では4.8点のA作品の方が良さそうに感じられるかもしれません。
でも、実際にはB作品の方が評価者が多く、より多くの人から支持されていると考えられます。
つまり 「何人が評価したか」 はその評価点の信頼度を左右するのです。
今回のグラフ:「評価数の分布」
こちらが全サークルの評価数分布を表したグラフです。
このグラフは上下2段構成になっています。

上半分(パーセンタイル分布)
横軸:パーセンタイル(全体の中での位置。例:50%=中央値)
縦軸:評価件数
棒の高さが各パーセンタイル地点の評価件数を表しています
右端に非常に高い棒があるのは、一部の超人気サークルが何十万〜100万件以上の評価数をもっているためです(最大は1,087,437件…!)
下半分(累積分布)
横軸:評価数(何件評価を受けたか)
縦軸:その件数以下のサークルが全体の何%か
赤い丸が主要な節目(50%・75%・90%・95%・99%)で、具体的な評価件数が表示されています
読み取れる具体的な数字
中央値(50%地点):27件
→ 全サークルの半分は27件以下しか評価を受けていません
75%地点:412件
→ 4分の3のサークルは412件以下
90%地点:3,116件
→ 上位10%のサークルでさえ、この程度が評価件数の目安
95%地点:8,185件
99%地点:33,740件
最大値:1,087,437件(市場のごく一部の“モンスター級”サークル)
見えてくる傾向
大多数は低評価数帯に集中
→ 評価件数が少ないサークルは新規参入や活動規模の小さいサークルと考えられる
→ 高評価であっても3〜10件程度の評価しかない場合、それは“熱心な少数ファン”の評価である可能性が高い
トップ層は桁違い
→ 評価件数が数万を超えるサークルは全体の1%未満
→ この層は、作品数・販売数・ファン層の広さで圧倒的に有利
評価数と評価点は別物
→ 評価数が少ないと、評価点が極端になりやすい(高評価か低評価に偏る)
→ 評価数が多いサークルは点数が平均化されやすい(安心感あり)
評価点と評価数を掛け合わせて考える
前回の「平均評価点」と今回の「評価数」をセットで見れば、サークルの本当の人気や信頼度がよりクリアに見えてきます。
例えば…
高評価 × 多評価数 → 大人気&信頼性が高い
高評価 × 少評価数 → ニッチ市場に刺さった作品 or 一時的な人気
低評価 × 多評価数 → 話題性はあるが賛否両論が激しい作品
まとめ
評価数は「市場でどれだけ認知されているか」のバロメーター
評価点が高くても評価数が少ない場合は要注意(信頼度が低い可能性)
一握りのトップサークルが評価数を独占しており、格差は非常に大きい
次回予告(第三回目)
次回は、第3回として制作作品数の分布を見ていきます。
評価点・評価数が多いサークルは、やはり作品数も多いのでしょうか?
それとも少数精鋭でヒットを連発しているのでしょうか?
作品数という「活動量」の視点から、サークルのスタイルや戦略を紐解きます。